最適な借入額は?

 

借入額を決定するうえで一番考えないとダメなことは、社会情勢や職場環境が多少変わっても破綻を起こさないことです。

もちろん絶対に破綻しないなんてことはないですが、マイホームは生活の拠点です。薄氷を踏む思いで住宅ローン返済をするものではなと考えています。そのために、安全で破綻を非常に起こし難い「最適な借入額」や条件を検証して、年齢・世帯年収別で具体的な借入額を考察したいと思います。

私が長年 住宅関連会社に勤めた経験を鑑み、破綻を起こさない「最適な借入額」の条件です。

  • 生活防衛資金(半年)を必ず確保しておこう。
  • 自分が何歳まで働くかを考え仕事を辞めるまでにローンを完済できるようにしよう。
  • 返済額は、世帯の手取り年収の30%以内にしよう
  • 資金や返済額に余裕がない人ほど、固定金利を選ぼう
  • 火災保険料・メンテナンス費用も頭に入れておこう

それではそれぞれを解説していきましょう。

1.生活防衛資金(半年)を必ず確保しておこう

家計破綻させないために、生活防衛資金=月の生活費×6ヶ月分を確保しましょう

単純に月の生活費が25万円ならば25×6ヶ月=150万円

もちろんこれ以上あったほうがより良いですが、あくまでも最低金額とお考え下さい。

この生活防衛資金は、ただ単に貯金があるから大丈夫といったものではなく、日常の生活資金や急な出費に備えてある資金とは、さらに別に確保しておける資金です。

可能ならば、簡単に使えないように普段使う口座と違う口座や国債などの安全性の高い債券などで確保してあるとよいと思います。

なぜ、生活防衛資金が生活費の6ヶ月かというと、不測の事態が起き際に対応する 雇用保険(失業保険)・生命保険・損害保険の補償を受けるまで時間がかかる場合が多いからです。

一般的には2.3か月は、見ておいたほうがいいでしょう。

更にリストラや倒産といった出来事は、不景気を起因にすることを前提としています。不景気な場合、次の職を探すにも時間を要することが安易に想像できます。

それでは、不景気はどれぐらいの期間続くのかと言うと、内閣府の資料で、「景気基準日付」というものがあります。景気には、山と谷があり、山に向かって登っていく期間が好景気で、山の頂上から下っていき、再び上り調子になるまでの間が不景気の期間となります。

その資料では1951年以降の調査で、2018年までの間で、景気後退を16回経験しているとなっています。その16回の平均の不景気期間は約15.5か月で、2年に満たない期間です。

また、米国のJPモルガンが出している資料では、1949年以降 米国経済の景気後退を11回経験しており、その局面で景気後退期間を平均すると約11か月と、1年に満たない期間になっています。日本経済は、米国の経済に連動することが多いことからも考え、不景気から2年程度の期間で、景気は上昇に転ずる可能性が高いことがわかります。

平均15.5か月 < 24か月(2年)

生活防衛資金を、そのまま6ヶ月で使い切るのではなく、失業保険・損害保険・アルバイトでの収入などをうまく織り交ぜて、足りない生活費を補填しながらの使えば、約2年間 生活が維持できる金額になるはずです。

生活費が月5万円足りないなら150÷5=30か月(2年半)

2年間生活を維持できれば、

①景気が好転し、再就職ができる可能性が高い

②仮にマイホームを売却することになっても慌てず、売却ができる。

③返済方法の変更を含めて銀行との相談する時間ができる。

時間的な猶予は、心の安定につながり、よりよい対策を模索できるはずです。

2.自分が何歳まで働くかを考え仕事を辞めるまでにローンを完済できるようにしよう

私が約30数年前に住宅営業を始めたときは、住宅ローンは25年返済が最長でした。

当時は、ほとんどの方が25年返済を選択されていました。

借入金額も2500万円前後が一般的な時代でした。

30歳で25年住宅ローンを組んでも55歳で完済というのが普通でした。当時の定年は60歳・ローン金利は4%前後で住宅金融公庫を利用して銀行ローンを使うことはほぼなかった時代です。

ここぐらいまでが、日本の人口が増え続け、住宅不足で質より量の時代でした。

そして平成15年にフラット35が誕生 35年ローンが当たり前の時代に突入した。

このあたりから、地球温暖化などが騒がれだし、量より質の時代へ移り変わっていく

断熱性能・耐久性・耐震性能など注目されだし、今では当たり前なペアガラスなど高機能なものが多く開発され、住宅価格が徐々に上昇していきました。

この当時の金利は3%前後でした。

フラット35が誕生した平成15年~平成30年ぐらいまでは金利は下がる一方で、借入金額は4000万円前後という時代が長く続くことになります。

これは、バブル崩壊後の失われた20年または30年と言われる時代に位置し、ローン金利は下降をたどり、住宅金額の上昇は、25年返済⇒35年返済になったこととローン金利が下がることで月々の返済額は、25年返済が普通だった時代と変わらず返済ができた。

それでも、30歳で35年ローンを組んだ場合65歳で完済となり、ちょうど定年65歳がすすむなかでの措置でギリギリ仕事をしている内にローン完済となった。

ローン返済の変遷          
参考年代 返済期間 借入金額 金利  月々返済額 30歳で借りた場合の完済歳
平成元年 25年 2500万円 4% 約13.1万円 55歳・定年60歳
平成15年 35年 3500万円 3% 約13.4万円 65歳・定年60歳
平成30年 35年 4500万円 1.2% 約13.1万円 65歳・定年65歳
令和5年 50年 5500万円 1.5% 約13.0万円 80歳・定年70歳??
令和5年 50年 5500万円 0.5% 約10.3万円 変動金利を選択した場合

注:金利は当時の住宅金融公庫や住宅支援機構の金利を参考に算出しています。

  また、11年目以降の金利上昇は考慮していません。

ローン返済期間35年から50年へ・・・

そして、令和に入り50年ローンが誕生した。

住宅性能は更にあがり、コロナ禍により新しい生活様式に代わっていき、ライフスタイルも変化していきました。

そして、コロナが5類へ移行され、消費が戻ったと同時にインフレが進み住宅価格は更に上昇

人生100年時代などと言われるようになり、政府の政策もあり長期優良住宅・住宅性能評価・ZEHなどが誕生して住宅も長寿命化し、定年も70歳にいつなってもおかしくない雰囲気になっていき50年ローンが誕生する。

上記の表を確認ください。

平成元年から

①住宅価格に合わせて借入金額は徐々に上昇

②金利は、日銀の政策もあり徐々に下降

③返済期間が定年延長などに合わせて長期化

以上の3つが重なり、借入金額は上昇しても、毎月の返済額は、ほとんど変化していません。

こうやって、月々の返済額を増やさずにマイホームが実現できる仕組みが生み出されました。

それでも35年ローン時代の定年までにローンを完済できるなら良いのですが、50年ローンの場合、上記の表のとおり借入をした場合は、60歳時点の残債は約2690万円、65歳時点で2090万円、70歳時点で1440万円となり、80歳まで返済が続くこととなる

「借家に住んでも家賃がいるから同じじゃない?」って思う方もいると思います。

マイホームは、一軒家ならもちろんのことマンションであっても築40年ともなると内外装のやり替えやメンテナンス費用が掛かってくるのが普通である。

詳しくはメンテナンスの項目で説明をするが、一般的に初期費用をケチるとメンテナンス費用が掛かり、高耐久の初期費用が高いほうがメンテナンス費用は低く抑えられる。

概算でも500万円~800万円ぐらいは想定するのが一般的です。

仮に500万円のメンテナンス費用が必要とした場合 80歳までの10年間考えれば年間50万円・約月4万円が必要になります。

更にマイホームは、固定資産税が毎年かかる、固定資産税は、築40年となるとかなり下がってきているとは思うが、ローン支払い・メンテナンス費用・固定資産税の全部を収入のない状態で払い続けるのは厳しいと考えるのが普通である。

退職金で返済は…

それでは、ローン残債を退職金で払うと考える人も多いのではないかと思います。

そうできる人もいるかもしれないが、下記の理由で難しいと考えたほうがいい

①自営業の人は、そもそも退職金がない

②終身雇用の崩壊(長く勤めないと退職金がない)

(厚生労働省の調べで2016年時点で終身雇用率が4割~5割となっており、年々下がっている。)グラフ

③退職金が年々少なくなっている。(2003年 2499万円⇒2018年 1788万円となっており15年間で約3割減少している。)

以上を考えると退職金で払える可能性のある人はごく一部で、多くの人は当てにしないに越したことがない。

以上を考えると最長のローン期間は仕事を辞めるまでとなる。

30歳でローンを組む場合

サラリーマンならば定年の65歳…35年ローン

更に定年延長や定年後も何らかのスキルで働ける70歳…40年ローン

自営業で75歳まで働けそうなら…45年ローン

まあ健康寿命を考えたると75歳まで働くのが限界と思われます。

(健康寿命とは、日常生活が制限されることなく生活できる期間のことである)

 

3・返済額は、世帯の手取り年収の30%以内にしよう

毎年の返済額総額は、世帯の手取り年収の30%以内が望ましいとされています。

もちろんすべての人に当てはまる訳ではないのですが、

国土交通省の調査では、全国の平均家賃が約7万6千円

全国の世帯の平均年収486万円(手取りに占める家賃割合は24%)となっています。

同調査で「現在の家賃に負担感がある」と答えた人が約半数の55%となっており、

20%前後だと少し余裕があり、25%前後が平均的、30%以上は負担感が大きいとなります。

計算例

世帯の手取り年収が500万円ならば500万円×30%=150万円(月12.5万円)

世帯の手取り年収が800万円ならば800万円×30%=240万円(月20万円)

単純計算で上記のようになる

さて、手取り年収ってなんだ?いくらだ?と自分の手取り年収を把握していない方が意外と多いのではないでしょうか?

サラリーマンやパートの方ならば、計算はさほど難しいものではないと思ます。

年収から引かれる税金を引いた後の金額である。

ぜひ一度、給料明細・ボーナス明細を足し算をして手取り年収を計算してみてください。

(引くのは税金のみで、会社が給料天引きにしている〇〇積み立てや○○保険料は除いてくださいね。)

家族構成や住んでる地域によって違いますが、参考資料を下記記載しておきます

年収 手取り   年収 手取り
400万円 320万円   1000万円 720万円
600万円 460万円   1200万円 840万円
800万円 600万円   1400万円 960万円

少し複雑なのが自営業の方です。

自営業の方は、経費で落としている費用などを再度よく確認いただき、訳が分からなくなってしまうかもしれませんが、世帯の自由に使えるお金の額を調べなおしてみてください。

 

4・資金や返済額に余裕がない人ほど、固定金利を選ぼう

上記で手取り年収の30%以内が目安と記載しました。

参考例で

世帯の手取り年収が500万円ならば500万円×30%=150万円(月12.5万円)でしたので

月払いが12.5万円以下なら良いかと言うと、そうではありません。

30歳(定年65歳)の方が、35年ローン・変動金利0.5% 4800万円を借り入れた場合

当初の月払いが約12.5万円となります。

経過年数 金利 月払い 手取りに占める割合 30%以内にする必要手取り
1年目~ 0.5% 12.5万円 30% 500万円
6年目~ 1.0% 13.4万円 32% 536万円
11年目~ 1.5% 14.2万円 34% 568万円
16年目~ 2.0% 14.9万円 36% 596万円
21年目~ 2.5% 15.4万円 37% 616万円
26年目~ 3.0% 15.8万円 38% 632万円
31年目~ 3.5% 16.0万円 38.5% 640万円

同じ借り入れ条件で手取り年収が700万円の人の場合

経過年数 金利 月払い 手取りに占める割合  
1年目~ 0.5% 12.5万円 21.5%  
6年目~ 1.0% 13.4万円 23%  
11年目~ 1.5% 14.2万円 24.5%  
16年目~ 2.0% 14.9万円 25.5%  
21年目~ 2.5% 15.4万円 26.5%  
26年目~ 3.0% 15.8万円 27%  
31年目~ 3.5% 16.0万円 27.5%  

ここ20年ぐらい変動金利は、徐々にさがり現在0.5%以下の金利も見受けられますが、昨今の世界情勢を鑑みれば、いつ金利が上がってもおかしくない状況です。

上記表は、5年ごとに金利が0.5%上がった場合の返済額のシュミレーションです。

もちろん、金利が上昇するかなんて誰にも分らないことで必要以上に心配することはないのですが、念のためにそうなった時の備えは、考えておきましょう。

職業的に年齢が上がるにつれて表のように年収が上がる見込みのある方は当初から手取り年収の30%に近い借り入れでもそのまま対応できます。

参考に手取り年収が700万円ある方の場合をシュミレーションしていますが、当初返済額が手取りの20%強から返済スタート場合は、少々金利があっても家計が破綻する可能性が低いと言えます。

ただ下記の方

  • 当初の返済が手取り年収の30%に近い方
  • 年収が上がっていくか不明な方
  • 自営業などで収入が不安定な方

は変動金利を選択せずに固定金利を選択してもしもに備えましょう。

  1. 固定資産税・火災保険料・メンテナンス費用も頭に入れておこう 

「マイホームと賃貸 どっちがお得?」の章で記載したように、マイホームの維持には、固定資産税・火災保険料・メンテナンス費用(修繕費)が別途必要なります。

住む地域・建物の構造・耐久性などにより決まった金額はないのですが、

固定資産税 年間10万円

火災保険料 年間 3万円

メンテナンス費用 年間12万円 (余裕を見るなら15万円想定ください。)

ぐらいは最低でもかかる想定をしてください。

特にメンテナンス費用は、大きく変動がする可能性があるので慎重に金額を検討ください。

メンテナンス費用は、将来に備えて毎年積み立てていき、必要な時に必要な金額を使用ください。

上記を踏まえて、具体的な借入金額を算出してみましょう。

代表的な例を表にまとめてみるので、自分の状況に近いものを参考にしてみて下さい。

借入期間50年(例:現在年齢25歳 75歳まで働く場合)

世帯手取り年収 30%以内の借入額(固定金利1.5%) 25%以内の借入額(変動金利0.5%) 20%以内の借入額(変動金利0.5%)
400 万円  約3350万円                                                            約3310万円  約2430万円
500 万円  約4390万円  約4420万円  約3310万円
600 万円  約5450万円  約5530万円  約4200万円
700 万円  約6500万円  約6630万円  約5080万円
800 万円  約7560万円  約7740万円  約5970万円
900 万円  約8610万円  約8840万円  約6850万円
1000万円  約9670万円  約9950万円  約7740万円

※上記の借入額には、メンテナンス費用などのその他費用を、計算に入れて再計算したものに

 なります。居住年数によってその他費用が変わりるため、大まかに計算していますの、あくまで

 も参考額とお考え下さい。

 また、世帯手取りの25%以下の返済は、金利変動に対応できる可能性が高いと考え変動金利

 0.5%で計算しています。

借入期間45年(例:現在年齢25歳 70歳まで働く場合)

世帯手取り年収 30%以内の借入額(固定金利1.5%) 25%以内の借入額(変動金利0.5%) 20%以内の借入額(変動金利0.5%)
400 万円  約3100万円                                                            約3020万円  約2210万円
500 万円  約4080万円  約4020万円  約3020万円
600 万円  約5070万円  約5030万円  約4820万円
700 万円  約6050万円  約6040万円  約5620万円
800 万円  約7030万円  約7040万円  約5420万円
900 万円  約8010万円  約8050万円  約6220万円
1000万円  約8990万円  約9060万円  約7020万円

借入期間40年(例:現在年齢25歳 65歳まで働く場合)

世帯手取り年収 30%以内の借入額(固定金利1.5%) 25%以内の借入額(変動金利0.5%) 20%以内の借入額(変動金利0.5%)
400 万円  約2850万円                                                            約2710万円  約1990万円
500 万円  約3750万円  約3620万円  約2710万円
600 万円  約4660万円  約4430万円  約3430万円
700 万円  約5560万円  約5330万円  約4160万円
800 万円  約6460万円  約6240万円  約4880万円
900 万円  約7360万円  約7140万円  約5610万円
1000万円  約8260万円  約8050万円  約6330万円

借入期間35年(例:現在年齢30歳 65歳まで働く場合)

世帯手取り年収 30%以内の借入額(固定金利1.5%) 25%以内の借入額(変動金利0.5%) 20%以内の借入額(変動金利0.5%)
400 万円  約2580万円                                                            約2400万円  約1760万円
500 万円  約3390万円  約3200万円  約2400万円
600 万円  約4210万円  約4000万円  約3040万円
700 万円  約5020万円  約4800万円  約3680万円
800 万円  約5840万円  約5600万円  約4320万円
900 万円  約6660万円  約6410万円  約4970万円
1000万円  約7470万円  約7210万円  約5610万円

借入期間30年(例:現在年齢35歳 65歳まで働く場合)

世帯手取り年収 30%以内の借入額(固定金利1.5%) 25%以内の借入額(変動金利0.5%) 20%以内の借入額(変動金利0.5%)
400 万円  約2290万円                                                            約2080万円  約1530万円
500 万円  約3010万円  約2770万円  約2080万円
600 万円  約3730万円  約3470万円  約2640万円
700 万円  約4460万円  約4160万円  約3200万円
800 万円  約5180万円  約4860万円  約4315万円
900 万円  約5910万円  約5560万円  約4870万円
1000万円  約6630万円  約6250万円  約5420円

年々マイホーム取得年齢が年々下がっている傾向にあるらしく、指標となるべき正確な資料が見つけられなかったのですが、いろいろな資料の概ねを計算する限り

マイホーム取得平均年齢30歳前半

マイホーム取得家族の世帯年収平均約750万円(手取り年収約570万円)

定年65歳とした場合、算出される 

35年返済 固定金利1.5%

【最適借入額】=3970万円 となる。

これに自己資金が約2割あると想定した場合

3970万円 ÷ 0.8 = 4960万円 が マイホーム取得費総額となる

いかがだろうか?皆さんが考える取得費と比較して・・・高い?低い?